独断分析 vol.7
動画その11
https://twitter.com/shikenryu/status/1197811118556635136
分類:殺陣
この道場さんは、とても特徴的だ。色んな動画がUPされているが、どれにするか迷ったほどだ。
真向を次の3つの内のどれかで捌いているのだろう。
「受け流す」「弾く」「飛ばす」
面白いほど、どれか分からない。
捌いた後の両者の動く方向にも、何かしらのルールがあると信じたい。
この道場さんには、基礎の型があるし、真向や袈裟の打ち方は、皆さんかなり統一されている印象です。
なので、あえてこの動きにもルールがあると信じて、それ以外の点を順を追って語っていこう。
まずは真向。この真向は捌かれるので、下まで振り下ろす事はない。なので、殺陣を始めると初期の段階から習う「止め」という方法が使われる。
これは、殺陣が芝居ゆえに、本当に斬り下ろしては危険なので、刀どうしが合わさる所で止めるのだ。
が、この動画を見る限り、全ての人が、刀が止まってから、捌いている。
これが本当の戦いであれば、殺す気がない事になる。
刀が止まる所で、両者の刀が同時に合わさらなければ成立しないのだ。
この刀が合わさる所を「点」と当ブログでは書いた事があるので、そちらを参照して欲しい。
動きながらの立ち回りでは、静止から始める組手よりも、この「点」に合わせる技術は当然難しくなる。
ここまで全員がタイミングが合わない状態であれば、まずは一定の距離で静止した状態からの稽古をすべきだ。
次に刀を止めた時の腕と刀の角度だが、この道場さんの基本なのだろう。
刀を持つ手の部分が目の高さくらいで、全員が止めている。「止め」を教えるに当たり、統一されているのがうかがえる。
しかしこれは、刀を振る側の演者本位だ。極端な事を言えば、身長2mの人がこの「止め」をして、捌く人が身長140cmだった場合、刀を当てる事だけで精一杯となる。殺陣は演者全員で作り上げるものだ。お互い助け合いながら、殺し合いを表現しなければ、いい芝居にならない。
しかも、この腕の高さはリスクが高い。目線に手と柄があると言うことは、視界が悪いという事だ。突発的な事が起こった際に対応が遅れる可能性もある。
表現面においても、こんなに高い位置の刀を捌いてしまっては、危機感ゼロだ。
結論を言うと、「止め」の際の、腕から手の高さは、目線より下にすべきだ。
目線上には刀身のみとなるので、周り全てが見渡せる。そして切っ先を「点」に合わせる。そうすれば、相手の捌きやすい「点」を目指してしっかりと刀が振れるのだ。
次は捌かれた側の人の動き、というか目線だ。
二人で殺陣をするならお互いを。多人数で殺陣をするなら、絡みは芯を。
可能な限りずっと視界に入れなければならない。
例えばドッヂボールで、内野が自分一人になったとする。相手が自分を狙いながらパスを回してる。「ボールから目を離しますか?」
上記のドッヂボールの状態より緊迫している事に気づいてほしい。目を離した隙に殺されるかもしれないのだから。これが殺陣の技術面においても演技面においても基本だ。
動画を見る限り、捌かれた後、自分が入りたい位置で振り返るまで相手を見ていない。全員が芝居を放棄しているのだ。
道場さんで習った事しか出来ないのであれば、それは役者ではない。
技術面は難しくても、演技面はどこまでも深く想像して損は無いのだ。
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