独断分析 vol.21

動画その29

分類:殺陣
この団体さんは、ワークショップもされているようだ。

短い殺陣だが、短い殺陣でボロがでると「こんな短い殺陣なのに・・・」となる。それが今回の動画だ。

さて見ていこう。

1手目の逆袈裟。そもそも芯に向かって斬り込まず、横走りというのか蟹走りというのか、よく分からない斬り込みが、初手から繰り出されるとは、落胆する。

こうなった原因は、カメラアングルだと考える。カメラ固定のために、絡みの位置から、次の立ち位置への移動を簡単に決めてしまったためにこの惨事だ。
これを解消する動線は2種。

奥の絡みの方が右側からフレームインして、芯に真っ直ぐ斬りかかり、左前に入る。
奥の絡みがフレームインする時に右前の絡みが邪魔な場合は、左前からフレームインしてもらい、1手目の逆袈裟で流れてきた絡みに合わせ、シャッターで右前の位置に入る。

もう一つは、動画と同じように全員フレームイン。1手目は袈裟に変更し、左奥から右前に流れる。右前にいた絡みはそれに合わせ、シャッターで左前の位置に入る。この場合、絡みの手が動画とは入れ替わる。

このような動線だと、1手目から酷い事態は起こらないし、シャッターによって1手だけでも全体に動きが生まれる。

ともあれ、いかに後ろからとはいえ、こんなに誰も居ない所を斬っては、嘘がバレバレ。
絡みが悪い。芯をちゃんと見て、刀が芯に被るように振るべきだ。

2手目、抜き胴。切っ先が走っていない。およそ脇構えの位置に刀を持って行けなかったが原因だ。振り始めが中途半端なのだ。
そして頭だ。抜き胴の時に刀を避ける芝居なのか頭を屈める動きが確認できる。この立ち回りにおいて、芯は3手で2人を始末できる達人なのだ。頭を屈めるなんて弱く見える演技は全く不要だ。
芯の動きだが、真っ直ぐ前に出てきてから左に移動している。無駄な動きだ。
絡みの真向に対して、絡みの通るラインを芯は一歩前に出て開けたのだから、次の一歩は右前の位置に入れるように足を進めるべきだ。これに対しては絡みも悪い。ゆっくり動き過ぎだ。早く後ろ側へ抜けないと芯の邪魔になる。
結果、抜き胴は斬ったように見えない。
そして、カメラアングルの関係で、次の手のスペースを中央に開けるため、芯が強引に右に移動する事となってしまっている。
芯から飛び込んでの抜き胴の方が、すんなり見えるものになったかもしれない。

3手目の突き落とし。ここでも芯は、突きを避ける芝居なのか、首を傾ける。弱く見えるため不要だ。

4手目、斬首、だと思うが。腕を斬っている様に見える。絡みの動き出しが早い。首から刀が抜けた後からでも充分なのだが、絡みが動いた事によって斬るラインがズレている。
さらに言うなら、絡みは落とされた時に、芯が切りやすい高さまで、体勢を崩してあげられるとベストだ。

そして残心は微塵も感じない。

たかが4手、されど4手だ。

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