「振り方」を考える
刀をどう振るのかについて、語ろうと思う。
刀の振り方について、殺陣を始めた時にまず習うの「米」ではないだろうか。
1.上から下:真向唐竹割り・真向斬り・真向
2.右上から左下:袈裟切り・右袈裟切り・袈裟
3.右から左:胴斬り・右胴斬り・薙ぎ・右薙ぎ
4.右下から左上:切り上げ・右切り上げ・右逆袈裟切り
5.下から上:逆風・逆真向斬り
6.左下から右上:逆袈裟切り・左切り上げ
7.左から右:左胴斬り・左薙ぎ
8.左上から右下:逆袈裟切り・左袈裟切り
9.中心:突き・刺突
以上9つがある。道場や教室によって、どう呼ぶかも様々だ。特に逆袈裟は切り上げを指す場合もあるので、毎回、殺陣師さんの言うところはどちらか把握しておいた方がよい。
また、下から上への切り方は「逆風」「逆真向」とあるが、そもそもあまり使われる事の無い手なので、名前がない事がほとんどだ。「逆風」にしても柳生新陰流の技の名前で、下から上へ振り上げる一般名称ではない。「逆真向」も「真向」の逆だからという俗称に過ぎない。
そして、胴斬りにおいては、相手に捌かれる場合だと、「横面」を使用する場合が多いし、切る時には「抜き胴」を使うことも多い。
ともあれ、殺陣に足を踏み入れる者としては、基本としてはとても分かりやすい入口だ。
では、果たして殺陣とはこの9つしか切り方がないのだろうが、というと決してそうではない、切る角度を1度ごとに分けるとするなら、360通りの切り方が存在するし、突きでも、首や胸や腹など狙うところによって突き方を使い分けるたりする。刀の届く範囲であれば、いかようにも切り方がある。というより切りようがあるという方が正しい。
振り方が斬り方に・・・少し話がずれたので、戻そう。
こういった斬り方をするにあたっての刀の振り方だ。
まずは、振る軌道の「始点」と「終点」を意識することだ。真向ならば、振り上げたところが「始点」、振り下ろしたところが「終点」だ。これをうやむやにすると殺陣として綺麗に見えないという事もあるが、技術面でも問題が発生する。
「始点」をうやむやにした場合、相手に「今からそこに切りかかります」という意思表示が伝わらない。技斗でいうところの拳を振り上げて殴りかかるのと全く同じだ。そうなるとお互いのタイミングや位置がずれたり、怪我に繋がる可能性がある。
「終点」をうやむやにした場合、振りが少ないと切り方が中途半端になる。振り過ぎると次の動作に間に合わなかったり、周囲の人に刀を当てたりする。
では刀が流れるような立ち回りではどうか。
この場合も、刀は常に流れて動いていようと「始点」と「終点」を刀が通過することが重要だ。
そして、この始点から終点までの軌道と同じ角度に刃がないと切れない。刃筋を立てる(軌道に刃の角度が合う)事も身につけなければならない技術だ。真向はできても、袈裟や切り上げ等は難しい。
もう一つ重要なのは「切っ先を走らせる」ことだ。
技術的にとても単純に言うと、手首の返し(スナップ)だ。刀は手首を返す際に、切っ先が最速となる。これが「走らせる」ための技術の一つだ。
手首を返し過ぎると、肘が伸び切って「死に手」となるので、丁度よい角度を各々探る必要がある。
殺陣における切っ先を走らせるタイミングは、振り方によりけりだ。
真向では、始点程なくすぐから「止め」のところで一番伸びるように。袈裟も同様。
胴斬りでは2種類ある。切る前に走らせるか、切った後から走らせるかがある。
ポイントとなるのは、観客に見えるか否かだ。
例えば「真向を上段受けで止められる」という手があったとする。
切っ先を走らせ、上段受けされた場合、刀は最速で「止め」まで振ることとなり、走らせない刀よりも「凄まじい威力」の真向を受け止めた。という印象を観客に伝えられる。
当然、受けられずに切る場合も、「凄まじい威力」は観客の見えるところで切っ先を走らせるために表現できる。
1.上から下:真向唐竹割り・真向斬り・真向
2.右上から左下:袈裟切り・右袈裟切り・袈裟
3.右から左:胴斬り・右胴斬り・薙ぎ・右薙ぎ
4.右下から左上:切り上げ・右切り上げ・右逆袈裟切り
5.下から上:逆風・逆真向斬り
6.左下から右上:逆袈裟切り・左切り上げ
7.左から右:左胴斬り・左薙ぎ
8.左上から右下:逆袈裟切り・左袈裟切り
9.中心:突き・刺突
以上9つがある。道場や教室によって、どう呼ぶかも様々だ。特に逆袈裟は切り上げを指す場合もあるので、毎回、殺陣師さんの言うところはどちらか把握しておいた方がよい。
また、下から上への切り方は「逆風」「逆真向」とあるが、そもそもあまり使われる事の無い手なので、名前がない事がほとんどだ。「逆風」にしても柳生新陰流の技の名前で、下から上へ振り上げる一般名称ではない。「逆真向」も「真向」の逆だからという俗称に過ぎない。
そして、胴斬りにおいては、相手に捌かれる場合だと、「横面」を使用する場合が多いし、切る時には「抜き胴」を使うことも多い。
ともあれ、殺陣に足を踏み入れる者としては、基本としてはとても分かりやすい入口だ。
では、果たして殺陣とはこの9つしか切り方がないのだろうが、というと決してそうではない、切る角度を1度ごとに分けるとするなら、360通りの切り方が存在するし、突きでも、首や胸や腹など狙うところによって突き方を使い分けるたりする。刀の届く範囲であれば、いかようにも切り方がある。というより切りようがあるという方が正しい。
振り方が斬り方に・・・少し話がずれたので、戻そう。
こういった斬り方をするにあたっての刀の振り方だ。
まずは、振る軌道の「始点」と「終点」を意識することだ。真向ならば、振り上げたところが「始点」、振り下ろしたところが「終点」だ。これをうやむやにすると殺陣として綺麗に見えないという事もあるが、技術面でも問題が発生する。
「始点」をうやむやにした場合、相手に「今からそこに切りかかります」という意思表示が伝わらない。技斗でいうところの拳を振り上げて殴りかかるのと全く同じだ。そうなるとお互いのタイミングや位置がずれたり、怪我に繋がる可能性がある。
「終点」をうやむやにした場合、振りが少ないと切り方が中途半端になる。振り過ぎると次の動作に間に合わなかったり、周囲の人に刀を当てたりする。
では刀が流れるような立ち回りではどうか。
この場合も、刀は常に流れて動いていようと「始点」と「終点」を刀が通過することが重要だ。
そして、この始点から終点までの軌道と同じ角度に刃がないと切れない。刃筋を立てる(軌道に刃の角度が合う)事も身につけなければならない技術だ。真向はできても、袈裟や切り上げ等は難しい。
もう一つ重要なのは「切っ先を走らせる」ことだ。
技術的にとても単純に言うと、手首の返し(スナップ)だ。刀は手首を返す際に、切っ先が最速となる。これが「走らせる」ための技術の一つだ。
手首を返し過ぎると、肘が伸び切って「死に手」となるので、丁度よい角度を各々探る必要がある。
殺陣における切っ先を走らせるタイミングは、振り方によりけりだ。
真向では、始点程なくすぐから「止め」のところで一番伸びるように。袈裟も同様。
胴斬りでは2種類ある。切る前に走らせるか、切った後から走らせるかがある。
ポイントとなるのは、観客に見えるか否かだ。
例えば「真向を上段受けで止められる」という手があったとする。
切っ先を走らせ、上段受けされた場合、刀は最速で「止め」まで振ることとなり、走らせない刀よりも「凄まじい威力」の真向を受け止めた。という印象を観客に伝えられる。
当然、受けられずに切る場合も、「凄まじい威力」は観客の見えるところで切っ先を走らせるために表現できる。
「始点」「切っ先が走る」「終点」とポイントを押さえると、綺麗で鋭く刀を振っているように見せる事ができる。
次は突きだ。
突きを走らせるのは無理だ。では、どういう振り方をすべきか。
突きは振り方では無く、どれだけ突く前に引くかが重要だ。
正眼の構えから、そのまま突いたとする。そうすると刀の伸び幅は数十センチがいいところだろう。
突き構えの際に、いかに刀を引いておくか、すると刀は1メートル以上の伸び幅を観客に見せる事ができる。この引いた時の位置と伸びた時の位置の差をどれだけ作るかがポイントだ。
そして伸びたところでピタリと刀を止める事で、突きの威力を表現できる。
以上の振り方、突き方はどれも、立ち回りを大きく見せ、かつ鋭い一撃が表現できる方法だ。この方法を基本とし、その他の振り方・突き方を「引き出し」に入れておくと、技術・表現において、様々な殺陣ができる。
役者の方はよく聞く話ではないだろうか「最初は大げさに演技する。そこから丁度よいところまで演技を抑えていく」という演技の作り方。この振り方も同じ要領だ。大きな立ち回りができる人は小さい立ち回りも可能だが、小さい立ち回りしかしない人は大きな立ち回りはできない。
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