「声かけ」を考える
殺陣を行うにあたり、絡みが「えいっ!」とか「やぁ!」など声をあげる事だ。
声の役割について語っていこう。
まずは「怪我をしない・させない」ための声かけだ。
1対多の立ち回りの時には、斬りかかる絡みが「声かけ」してから斬りかかる事が基本だ。
芯は四方を囲まれ、誰が斬りかかってこようと反応できるスタンスを取る事となる。この時に「次の手はこっちです」と芯に「事前にお知らせ」するのが役割の一つだ。
芯が手を忘れる事だってある。その時にこの「声かけ」ひとつで思い出すことだってある。
無言で斬りかかっては、芯が反応できないし、怪我につながる。
1対1の時には、お互いが見合っていることが殆どだと思う。役柄も考慮し、お互い声かけをしないで立ち回る事も十分に考えられるが、背中から斬りかかる際には「声かけ」するなどの安全面での配慮は必要だ。
もう一つは「殺陣を盛り上げる」ための声かけ。
芯に「事前のお知らせ」をする為だけであれば、芯に聞こえるだけの声量でよい。というものではない。絡みがいかに「斬ってやろう」という意気込みを声に乗せるかだ。弱い役柄なら「震えながら叫ぶ」とか、仲間が斬られたから「怒り狂った声」にする、周りが見えなくなった「発狂した叫び」なのか、自身の設定に則した声で「声かけ」すべきだ。その声が観客を引き込み、殺陣を盛り上げる一因となる。
「声かけ」をするタイミングも重要だ。
上記を読めば、斬りかかる前に「声かけ」しなければならないのは分かる。ではどのくらい前に声をかけるべきか。これは芯の態勢によって絡みが各々判断すべきだ。というのが結論なのだが、芯の視野に自分が入っている時は、およそ刀を振り上げた前後になる事が多い。芯の視野に自分が入っていない時は、刀を振り上げる前。これは芯の体が振り向く時間も考慮している。「声かけ」すれば良いものではなく、「声かけ」の役割を理解し、芯に優しいタイミングで声をかける。
声について話したので、もう一つ「重要な声」を付け足しておこう。
それは、斬られた時の声だ。「殺陣を盛り上げる」ためには、この声も必須だ。自分が斬られた時には「どんな思いで死ぬのか」をこの声に乗せることだ。
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